CGraSSについて
設立目的
ジェンダー社会科学研究センターは、ジェンダー研究と社会科学を融合させた学際的な研究領域を創出し、ジェンダー視点を導入した新しい先端的社会科学研究の潮流を生み出すことを目指すとともに、こうした研究を基盤とした新たなジェンダー教育の確立とその実践を目指して設立されました。こうした研究教育拠点として、先端的な研究者の育成と男女共同参画社会実現を担う高度専門職業人の養成に資することを目的としています。
本センターには、次の三部門を設置します。
(1) 研究部門
研究部門では、「先端課題研究」等を基盤として共同研究を推進し院生教育に努めるとともに、センターのメンバーが共同研究および個人研究を行います。2006年度~2008年度に実施した先端課題研究7「日常実践/方法としてのジェンダー」の成果は、木本喜美子・貴堂嘉之編 『ジェンダーと社会-男性史・軍隊・セクシュアリティー-』(旬報社、2010)として、また2014年度~2016年度に実施した先端課題研究14「ジェンダー研究の過去・現在・未来」の成果は、佐藤文香・伊藤るり編 『ジェンダー研究を継承する』(人文書院、2017)として刊行されております。これら著作には、センターの教員メンバーだけでなく、共同研究に参加した院生らの論考も多く収められています。今後も、ジェンダー視角の導入により既存の社会科学諸分野のディシプリンに揺さぶりをかけ、新たな方法論的地平の開拓をめざし、その共同研究の成果を出版刊行し、広く社会に向け発信することを目指します。
(2) 研究交流部門
研究交流部門では、国内外の研究者を招聘して、毎年、レクチャーシリーズによる講演会を開催します。また、先進的な活動を展開しているジェンダー研究センターや研究者との交流を深め、シンポジウムの共催や合同研究会などを行い、教員・院生の相互交流を奨励・推進します。海外においても、欧米やアジアを中心とした複数のジェンダー研究所や研究者とのネットワークの構築をはかり、研究のみならず教育実践についても相互交流を促進します。
(3) ジェンダー教育プログラム(GenEP)部門
GenEP部門では、全学の共通教育から大学院教育に至るまで、体系的なジェンダー教育関連科目が提供できるように、その運営組織としての活動を担います。研究部門や研究交流部門での成果を取り入れた教育プログラムの拡充につとめ、国内外の先進的教育プログラムの情報収集を行います。
沿革
一橋大学大学院社会学研究科に、「ジェンダー社会科学研究センター」が設置されたのは2007年4月1日のことです。2005年度から2年間にわたって学内で実施されたGenEPプロジェクト(「一橋大学における男女共同参画社会実現に向けた全学的教育プログラムの策定」プロジェクト)の活動をへて、ジェンダー研究と社会科学の融合をめざした新しい研究・教育センターが動き出しました。略称は、英語名称Center for Gender Research and Social Sciencesの頭文字をとってCGraSS(シーグラス)です。
本センターは、全学的なジェンダー教育プログラムをたちあげるためのGenEPプロジェクトの活動を基盤として、設立構想が固められました。2005年にジェンダー教育の中核となる専任教員が着任したことを契機にGenEPプロジェクトが始動し、2005-06年度には本学の教育研究改革・改善プロジェクト経費を得て精力的に活動を行い、2007年4月からジェンダー教育プログラムを実行に移す段階にまで到達することができました。
この取組みにおいては学内の学生ニーズ調査、国内外の先進的機関の視察、インタビューなどを通じて情報を収集するなかから、本学にふさわしいジェンダー教育のあり方を明らかにするとともに、研究面でも、本学研究教育憲章が謳うように「市民社会の学である社会科学の総合大学」として、本学が率先してジェンダー的視座を導入した新しい社会科学の展開を目指し、研究拠点としての役割を果たすべきであるとの認識を持つに至りました。2006年度に先端課題研究7として「日常実践/方法としてのジェンダー」をたちあげたのも、社会科学とジェンダー研究を接合させ、新たな研究潮流をつくりだすためでありました。
こうした目的意識を持って、本センターの設立を考えるに至りました。本センターがめざす研究活動に支えられれば、全学的なジェンダー教育プログラムがより豊かなものとなることが期待されることから、本センターの一角にGenEP部門を位置づけることにしました。
組織と運営
本研究センターでは,代表と共同推進者からなる運営協議会によって①予算・決算、②年度の活動方針、③新しい共同推進者の承認などの決定・協議がなされます。本センターには代表のほかに、教育部門総括、研究部門総括、財務・総務部門総括がおり、このメンバーがセンターの運営にあたります。
代表: | 2007年度~2008年度 | 木本喜美子・貴堂嘉之 |
2009年度~2010年度 | 木本喜美子 | |
2011年度~2012年度 | 坂元ひろ子 | |
2013年度~2014年度 | 伊藤るり | |
2015年度~2016年度 | 佐藤文香 | |
2017年度~2018年度 | 坂なつこ | |
2019年度~2021年度 | 貴堂嘉之・中井亜佐子 | |
2022年度~2023年度 | 佐藤文香・洪郁如 | |
2024年度~ | 太田美幸 |
構成メンバー
センター構成員(2024年4月1日現在)
代表者
役割分担 | 名前 | 所属:一橋大学大学院 | 研究領域 |
代表 | 太田美幸 | 社会学研究科・共生社会研究分野/総合社会科学専攻 | 比較発達社会史、ノンフォーマル教育 |
共同推進者(総括)
教育部門総括 | 貴堂嘉之 | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | アメリカ史、人種・ジェンダー・エスニシティ研究 |
研究部門総括 | 竹中歩 | 社会学研究科・社会学研究分野 | 国際社会学、移民・エスニシティ―研究、都市社会学 |
財務・総務部門総括 | 田中亜以子 | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | ジェンダー・セクシュアリティ研究、歴史社会学 |
共同推進者(研究部門)
飯尾真貴子 | 社会学研究科・社会学研究分野 | 国際社会学、国際移動研究、移民政策論 | |
井川ちとせ | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | 英語圏文芸思想 | |
加藤圭木 | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | アジア史、朝鮮近現代史、日本の戦争・植民地支配 | |
加藤祐介 | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | 日本近現代史、日本政治史 | |
洪郁如 | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | アジア史、台湾近現代史、帝国植民統治史、歴史と記憶の研究 | |
坂なつこ | 社会学研究科・社会学研究分野 | スポーツ社会学、スポーツ・レジャー文化研究 | 佐藤文香 | 社会学研究科・社会学研究分野 | ジェンダーの社会理論・社会学、軍隊・戦争の社会学 |
中野聡 | 社会学研究科・歴史社会文化研究分野 | アメリカ史、国際関係史 | |
山田哲也 | 社会学研究科・共生社会研究分野 | 現代教育論、教育問題の社会学 | |
中井亜佐子 | 言語社会研究科 | イギリス文学 | |
井上間従文 | 言語社会研究科 | アメリカ文学、ポストコロニアル研究、美学理論 | |
川本玲子 | 言語社会研究科 | 英語圏文学 | |
小岩信治 | 言語社会研究科 | 音楽学、西洋音楽史 | |
竹内幹 | 経済学研究科・公共経済 | 実験経済学・行動経済学 | |
横山泉 | 経済学研究科・公共経済 | 労働経済学、応用計量経済学 | |
長塚真琴 | 法学研究科・企業法経済法 | 知的財産法、フランス法、著作権法 | |
青木康晴 | 経営管理研究科 | 会計学 | |
吉岡(小林)徹 | 経営管理研究科 | 新領域法学(知的財産法)、経営学(技術経営) | |
森口千晶 | 経済研究所・比較経済・世界経済研究部門 | 経済史, 比較制度分析, 組織の経済学, 家族の経済学 | |
松塚ゆかり | 森有礼高等教育国際流動化センター | 教育社会学、財政・公共経済、経済政策、教育学 | |
柘植道子 | 学生支援センター | 心理学 |
客員研究員
伊藤るり | 社会学研究科名誉教授 | 国際社会学・ジェンダー研究 | |
木本喜美子 | 社会学研究科名誉教授 | 社会学・社会調査 | |
森千香子 | 客員研究員 | 国際社会学・都市社会学・フランス地域研究 | |
平井和子 | 客員研究員 | 近現代日本女性史・ジェンダー史 |