井上輝子 Teruko INOUE
Profile
井上輝子(いのうえ・てるこ)は1942年、東京都生まれ。2021年没。
1960年に東京大学教養学部文科Ⅱ類へ入学、’62年に文学部社会学専攻へ進学。’64年に同大学大学院社会学研究科新聞学専攻へ入学。’66年同博士課程に進学。荒瀬豊、香内三郎といったメディア史、社会思想史の分野の研究者に師事し、『女学雑誌』を対象に、女性とメディアの関係を研究する。’71年博士課程単位取得満期退学。
井上は1970年立教大学法学部助手、’73年和光大学人文学部助教授、’84年同教授、’96年同人間関係学部教授、2007年同現代人間学部教授を経て、’11年に退職。立教大学では、丸山眞男の流れをくむ政治学者である神島二郎、高畠通敏、野村浩一、尾形典男、栗原彬らと「基礎文献講読」の講義を担当する。この間、’70年代初頭のウーマン・リブ運動に参加する中で女性学と出会い、’74年から和光大学で女性学講座(「女性社会学特講」「女性学研究試論特講」「現代社会とジェンダー」など)を担当した。「女性社会学特講」は日本初の女性学講座として知られる。’74年に女性社会学研究会を設立(1981年閉会)、’80年に『女性学とその周辺』(勁草書房)を出版、日本女性学会では1992〜’95年度、2006〜’07年度に代表幹事を務めるなど、学術分野での女性学の確立に貢献する。
国立婦人教育会館(現国立女性教育会館)や川崎市を中心に、国や地方自治体の各種委員も歴任してきた。単著『女性学への招待』(有斐閣、1992年)、『新・女性学への招待』(有斐閣、2011年)をはじめ業績は多数あり、1980年代の国際共同研究をまとめた編著『女性雑誌を解読する――日米メキシコ比較研究』(垣内出版、1989年)で日本出版学会賞を受賞している。