伊藤康子 Yasuko ITO
Profile
伊藤康子(いとう・やすこ)は1934年、「満州国」奉天市(現瀋陽市)生まれ。
国民学校6年生で敗戦を迎え、家族と広島市郊外へ、さらに中学2年生だった1947年、父の就職に伴い東京へ転居した。’53年、東京大学文科Ⅱ類に入学。学生運動にも参加し、国史学科にて日本近世史を専攻。’57年に大学を卒業し、キンダーブックの編集者となる。結婚・出産後、体調を崩し退職。’63年、歴史科学協議会機関誌『歴史評論』編集部の有給職員となる。’66年、パートナーの転職に伴い退職し、名古屋市へ転居。同年より日本福祉大学、愛知県立大学等の非常勤講師として14年間教鞭を執る。’80年より中京女子大学(現至学館大学)助教授・教授を務め、2002年に定年退職。
伊藤は1966年、名古屋女性史研究会に参加。’72年には愛知女性史研究会を設立し、愛知県の女性史研究を推進した。同会では『戦後愛知女性史年表』(1975年)、『あいち女性のあゆみ』全4集、『愛知近代女性史年表』(2010年)等を刊行。’77年には初の全国集会「女性史のつどい」の事務局を担当し、以後全国の地域女性史学習グループを結ぶ活動を続けた。’94年からは愛知県史編さん事業に参加し、現在に至る。
歴史学界においても女性史研究の確立に尽力した。1970〜’80年代の女性史ブームの中、『戦後日本女性史』(大月書店、1974年)、『日本の女性史』(学習の友社、1977年)、『新版 新日本の女性史』(同上、1998年)を執筆・出版した。’77年の女性史総合研究会設立にも携わり、『日本女性史』全5巻〈1/2/3/4/5〉(東京大学出版会、1982年)の刊行等も担った。また、愛知と全国を結んだ成果として、『闘う女性の20世紀』(吉川弘文館、1998年)、『草の根の女性解放運動史』(吉川弘文館、2005年)、『草の根の婦人参政権運動史』(吉川弘文館、2008年)がある。