坂元ひろ子 Hiroko SAKAMOTO
Profile
坂元ひろ子(さかもと・ひろこ)は1950年、大阪府生まれ。2023年没。
1970年に一橋大学経済学部へ入学するが’72年に社会学部に転学部、’76年卒業。’74年より『禅学大辞典』編纂所に勤務し、『禅学大辞典』の完成後、’78年東京大学大学院人文科学研究科中国哲学修士課程へ入学。’81年同博士課程へ進学。在学中の’81〜’83年北京大学哲学系に中華人民共和国政府奨学金留学生、高級進修生(博士課程相当)として留学する。’86年同博士課程単位取得退学。’88年山口大学教養部助教授、’93年東京都立大学(現首都大学東京)人文学部中国文学科助教授を経て、’98年一橋大学社会学部教授、2000年同大学大学院社会学研究科教授。’14年同名誉教授。
坂元は同研究科に2007年に設置されたジェンダー社会科学研究センター(CGraSS)の活動にも尽力し、’11〜’12年度には代表も務めた他、ジェンダー研究と社会科学・人文科学の接合を目指した多くの教育、研究を展開してきた。また、日本現代中国学会や中国社会文化学会では理事長も務め、ジェンダーをテーマとした企画を積極的に立ち上げることで男性中心の学界に新風を吹き込んだ。国外では’91〜’93年ハーバード大学フェアバンク中国研究センター客員研究員、’07〜’08年アムステルダム大学とライデン大学にまたがる国際アジア学研究所(International Institute for Asian Studies, 現在はライデン大学のみ)に客員研究員として在籍。
坂元は男性研究者によって単性史として描かれてきた近現代中国思想文化史の分野に、ジェンダー、エスニシティ、階級・階層など多角的な視点で鋭く切り込む議論を提起してきた。また、図像資料も駆使しつつ、知の形成から排除されてきた中国女性の営みを浮かび上がらせ、その声をひろい上げてきた。著書は共著、翻訳などを含め多数あるが、単著では『中国民族主義の神話――人種・身体・ジェンダー』(岩波書店、2004年)、『連鎖する中国近代の“知”』(研文出版、2009年)などがある。