金井淑子 Yoshiko KANAI
Profile
金井淑子(かない・よしこ)は1944年、神奈川県横須賀市生まれ。
1963年に東京教育大学(現筑波大学)文学部哲学科倫理学専攻へ入学、’67年に同大学大学院文学研究科倫理学専攻修士課程へ進学、’71年に同課程を修了。長岡女子短期大学および長岡短期大学(現長岡大学)専任講師・助教授・教授を経て、’99年横浜国立大学教育人間科学部教授。2010年同職を定年退職後、立正大学文学部哲学科教授。’15年同職を定年退職後、立正大学文学部哲学科非常勤講師。
金井は1990年代半ばから、日本女子大学や文京女子大学(現文京学院大学)等で非常勤講師として女性学を教えてきた。学会は主に、日本哲学会や日本女性学会に携わり、2004年から’06年および’12年から’14年にかけて、日本女性学会代表幹事を務める。また、1992年頃より、新潟県や長岡市、神奈川県、横浜市、横須賀市等で女性に関する施策に委員として従事し、会長等を歴任。2006年から現在まで、日本学術会議の連携会員として、社会学委員会ジェンダー研究分科会、哲学委員会哲学・倫理・宗教教育分科会等に所属。
当初は、ドイツ哲学・倫理学に関する論文を執筆し、修士論文は「ヘーゲル・イエーナ哲学における『実在哲学』の構成について」(東京教育大学、1971年)。1985年頃から女性学やフェミニズム研究に関する著作を執筆。本文中で扱ったもの以外では、『ポストモダン・フェミニズム』(勁草書房、1989年)や、『フェミニズム問題の転換』(同、1992年)など。近年の著作は『倫理学とフェミニズム』(ナカニシヤ出版、2013年)や竹内聖一との共編著『ケアの始まる場所』(同、2015年)など。
地方の女性の生活や「家族・親密圏」における女性の経験に着目し、「新たな親密圏」や「〈女/母〉(わたし)の一人称・身体性」など独自の概念を編み出してきた。クィア研究や、東日本大震災、福島第一原発事故後の状況を踏まえて哲学や倫理学の課題を扱うなど、現代的なテーマにも取り組んでいる。